高齢者施設の種類について

担当している方が施設の転居を考えているので、条件に合った施設を調べました。

すると、ひと口に「介護付きの高齢者施設」と言っても、様々な形態で展開されていることがわかりました。

一般の方がいざ家族を入所させなきゃいけない、となった時に、とても複雑で悩まれるのではないかと思いましたので、テーマにしてみました。

ひとつひとつ見ていきたいと思います。

特別養護老人ホーム

これは多くの方がよくご存じの形態だと思いますが、だいたいの方が、

「費用が安い」

「何人も順番待ちしているため、すぐには入居できない」

といったイメージをお持ちではないでしょうか。

特別養護老人ホームいわゆる「特養」は、原則として要介護３以上の認定を受けた６５歳以上の高齢者が入所対象者となっています。

要介護３とは
「自力での歩行が難しく、日常生活においてもほぼ全面的に介助が必要な状態」です。

つまり、介護度が高く、自宅等で家族などが介護するのが難しい方を優先的に受け入れるための施設です。
そのため、人員の配置要件も護度が高く、自宅等で家族などが介護するのが難しい方を優先的に受け入れるための施設です。

また、運営主体が自治体や社会福祉法人などの公的施設であり、安心感もあるかもしれません。

特養については入居できる条件もあらかじめ決まっているため、理解しやすい形態と思います。

介護老人保健施設

介護老人保健施設「老健」は、原則として要介護１以上の認定を受けた６５歳以上の高齢者が対象ですが、こちらはリハビリなどの「機能訓練」を行いながら、在宅復帰を目指す施設です。

特養は看護・介護が中心なのに比べ、こちらは医療的サービスを主としており、介護度が比較的軽い方がこれまでの生活に近づけるように、復帰を目的としているところが大きな違いです。

そのため、入所期間は原則３か月とされており、基本的に終身での利用はできません。
転居を前提として入所する必要があります。

医師や作業療法士、理学療法士といった専門職の関与が大きいことから、運営主体が医療法人という施設が多いのも特徴です。全国の老健の７割が医療法人で運営しているそうです。

グループホーム

こちらは要支援２以上の６５歳以上の高齢者が入所できる施設ですが、認知症患者限定の施設となっています。

自宅のような環境で、５～９人までの少人数で共同生活をします。

他の形態の施設と違い、一つのユニットごとにキッチンや居間があり、自由に自分の好きなことをしながら過ごすことができます。

料理が得意な方は作ってふるまったり、手作業が好きな方は居間でくつろぎながら作り物をしたり、音楽を聴いたり、自由な空間で人とかかわりながら過ごすことで、認知症の症状の改善や進行を緩やかにすることが期待できるとのことです。

有料老人ホーム

有料老人ホームは公的機関ではなく民間運営ですので、様々な経営主体が参画しており、サービス内容も多岐にわたります。

まったくの健康な方でも入所できる施設や、介護度５の方まで入居できる施設もあり、サービスの建付けも施設によって異なるため、一言で説明するのが難しい形態でもあります。

基本的には食事の提供、その他日常生活に必要な支援を行うことを目的とし、「介護型」「住宅型」「健康型」の３種類があります。

利用者からみると、この３種類あるということが、有料老人ホームの理解をややこしくしていると思いましたので、別の機会にくわしく書きたいと思います。

同じ「有料老人ホーム」という冠名がついていても、施設によって提供されるサービス内容や費用が大きく異なりますので、必ず事前に見学し、契約書や重要事項説明書をよく確認してから申し込む必要があります。

やはり費用の面で負担が大きいので、特養に申し込みをして待機している期間につなぎの入所先として利用する方が多いかもしれません。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）は、原則として６０歳以上の高齢者、または要支援・要介護認定を受けている方が対象で、状況把握サービス（安否確認）と生活相談サービスの提供が必須となっている「賃貸住宅」です。

施設でなく賃貸住宅というところがこれまでの形態と違うところです。

これまでの施設は「介護保険法」や「老人福祉法」に基づいて設置されているのですが、サ高住は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」という法律に基づいて設置される賃貸住宅となっています。
詳しくは、厚生労働省の「サ高住とはなんですか？」をご覧ください

私の理解では、サ高住は健康なうちから入居して、見守りサービスを利用しながら暮らし、介護の必要度が上がってきたら老人ホームに転居しなくてはならない、と思っていたのですが、近ごろは介護度の高い方への対応や、場合によっては看取りまで対応するサ高住も増えているようです。

それも外部の介護サービスを別に契約する必要があったりするので、その契約内容をしっかりと理解する判断能力のあるうちに準備しなくてはいけませんし、なによりサ高住はお金が必要な形態であることは言えると思います。

どんな施設なのか理解してから入居することが重要

主だったものをご紹介しましたが、サ高住以外の介護施設については、たいていの場合ケアマネージャー等にお願いして本人に合った施設を選定してもらうことが多いと思います。

しかし、入居してから「思っていた施設と違う」「費用の負担が重い」というのはよくあることです。

入居する前にしっかりと内容を把握し、納得できる施設を選ぶことが重要なのは言うまでもありません。

そのためには、元気なうちから知識を蓄えておくことが大切ですね。