遺産分割協議書を作成した先まで責任をもつこと
相続税を申告してください ~国税局より~
先日ご依頼いただいたお客様から、
「税務署から【相続税申告のお知らせ】という書類が届いたのだけれど」
という連絡がありました。
私が遺産分割協議書を作成する際に聞き取り確認した限り、税金がかかるほどの遺産ではなかったので安心していたのですが、国税局のほうではそれまでの被相続人の確定申告の状況などから、ある程度の財産をお持ちの方は把握しているようで、そういったお知らせが届くことがあるそうです。
昨今特殊詐欺がいろいろな形で世間を騒がせていますので、そういった類かと思い警戒しましたが、依頼者様が連絡したところ、間違いなく国税局だったそうです。
「みなし相続財産」には注意が必要
その依頼者様のケースは、相続人が4名で相続税の基礎控除が5400万円となり、遺産の価額と照らし合わせましても税金がかかることはないだろう、と思い、税理士さんに相談するようにとのお話も全くしなかったのですが、よくよくお話を伺うと、生命保険が二契約あり、まとまった金額が依頼者様に入ったとの事。
聞き取りの段階ではまったく出なかった財産でしたので肝を冷やしました。
生命保険の保険金は相続財産ではなく、受け取った方の財産ですが、「みなし相続財産」として、相続税の計算には関わってきます。
被相続人の財産ではないので遺産分割協議書に記載する必要はありませんが、その先の税金のことを考えれば行政書士の方でしっかりと聞き取りすべき項目であったと反省しました。
今回の場合は、結果的にみなし相続財産を足しても基礎控除内であったため問題はありませんでしたし、もし超えるような場合も、国税局の方で親切なことに相続税の納税期限の4か月前にお知らせしてくれているので、税理士に相談するなど対応する時間はありましたが…
行政書士は相続相談の入り口
行政書士だから遺産分割協議書を滞りなく作成して、財産の移転が終われば一安心、ではなく、相談の入り口であるからこそ、他士業の知識も理解して、依頼者様が困ることのないような対応が必要だと改めて感じさせられました。